こんにちは。wevoxのエンジニアをしています、タガミショウゴ(@HOWABOUTUP)です。普段はwevoxのフロントを主に書いています。最近ハマっているのはRustと苔リウムです。
さて、この度アトラエ社内でテックブログのリニューアル&本格運用をスタートさせていこうということで、今回がその第一回目の記事です!
そのとても重要な最初のテーマが「テックブログを開設するまでに検討した技術的選択肢」というアトラエの事業とは全く関係のないテーマです...。笑
前提
今回は最終的にはてブ(一旦は無料プランで、様子を見てproへ移行)という選択肢を採りました。昨今フロントエンド界隈ではSSGやSSRなど様々な技術が議論されており、今回媒体を決めるまでにもそのあたりを細かく調べ、検討しました。が、最終的にはてブという選択肢に落ち着いたのには色々な理由があります。そのあたりを詳しくお話していきます。
エンジニア、デザイナーの方がこれから個人でブログを開設する、またはチームブログをはじめる際の参考になれば幸いです。
結論
以下の選択肢を検討していました。現段階でのアトラエに適している順で○ > △ > × としています。
- はてブ(無料) ○
- はてブ pro ○
- Jamstack(Gatsby + Netlify + MicroCMSなど) △
- Wordpress, Drupal ×
- note △
- Qiita ×
- zenn △
- Medium △
要件
選ぶにあたっては要件を以下のように設定していました。
- 書くのはエンジニアが主だが、デザイナーや非技術職メンバーでも書けること
- Markdownではもちろん、数式書くメンバーも多いのでLaTeXで書けること
- 執筆ユーザーの認証はもちろん、管理ができること
- 移行に備えて記事を手元に残す、あるいはエクスポートできること
- 記事管理、運用に際して工数があまりかからないこと
- 特定個人の技術的興味に傾倒しないこと
最後の点に関しては、会社のブログであることを前提におかないと「この技術、このサービスが流行ってるからこれでいこう!」という個人の趣味嗜好に走りがちなので注意しました。
決め方
まずは他社のテックブログ、エンジニアブログを参考にさせていただきました。Chrome拡張機能のWappalyzerを使って、2,30ほどのブログを調べると、大方以下の3つに集約されていて、特に多かったのがはてブでした。
- Jamstack
DeNAさん(Hugo?)
Jamstackってどうなの?
ここ最近フロントエンド界隈を中心として、GatsbyでSSGしつつ、Netlifyにホスティングする個人ブログを作成するのが流行しています。脱プラットフォームの傾向と、手軽に高パフォーマンスな静的サイトを公開できることなどがその要因のようです。
僕個人でもMicroCMS + Gatsby + Netlifyでお試しサイトを構築したことがありました。開発体験は最高ですし、カスタマイズも自由で、何より普段の開発と記事執筆をシームレスに行き来できる執筆体験も良かったです。なので、個人開発という意味でのJamstack構成のサイト構築は今後も増えていくと思います。特に今後の脱Railsの先の選択肢としては最適解でしょう。
ただし、チームでかつ会社単位のブログ媒体としてそれを採用すべきか?という観点でみると、現状を考慮してNGと判断しました...。
会社のブログとしては"リッチすぎる"
テックブログはたとえ僕が去ったあとでも残るものですし、なるべく多くの人が関係者になるものです。そこに対して、現状様々な選択肢があるJamstack構成をえいや!で決めるのはリスクが高いと判断しました。なんでもできる、手軽であるが故に飛びつかないよう一旦ステイしたというかたちです。
なので、複数メンバーが責任をもってブログを発展させる未来が見えるのであればこの選択肢はとても良いと思います。逆に言えば、とりあえず書ければいいというスタンスの場合、無理してゼロから作り上げる必要はそこまでないのかなと。
wordpressでは?
wordpressでゼロからメディアを立ち上げるという選択肢は見送りました...。これはwordpress、あるいはそれを使ったメディアを否定するわけではなく、現在のアトラエにおいては悪手だと思ったからです。
まずwordpressをいじった方なら分かると思いますが、まずメンテ工数が非常にかかること。セキュリティホールを生みがちですし、またアトラエにはPHPerがおらず(それなりに書ける人はいますが)、wordpressに詳しい方もいません。しかも、先ほど説明したJamstackへの流れのなかで、Webメディア開発界隈では"脱wordpress"が数年前から始まっています。また、SEOの観点からいってもwordprssは比較的スコアが低いという意見もちらほら聞きます。
そんな中でわざわざいまwordpressでメディアを立ち上げるメリットはないと判断しました...。
プラットフォームにのっかる
さて、こうなってくると安易ではありますがプラットフォームに依存するかぁとなります。まずは巨人の肩にのって進み始めるパターンです。
- note
- Qiita
- zenn
- Medium
これらは他テックブログではあまり使われていないメディアでした。(zennはリリースが数ヶ月前と新しいので当たり前かもしれませんが...。)
そのなかでもnoteはアトラエでも会社ブログに使っており、また他社でも非テックブログでは積極的に使われている印象でした。しかし、noteはMarkdownを素直に書くことができません。もちろんLaTexもです。さらに、(当記事執筆現在では)記事のエクスポートができません。
じゃあQiitaは?となると、QiitaにはOrganizationという概念がありますが、それらをメディアとして公開することはできません。チームブログの媒体としての機能はほぼないと判断しました。どちらかというと、会社組織に紐づけて書きたい個人が情報発信するというプラットフォームになっています。
また、zennもQiitaに近く、おそらくはエンジニア個人のナレッジ共有プラットフォームとして展開するのだと思います。僕個人としてはzennを推していますが、会社として採用するのはまだ未来のことになりそうだなぁと残念ながら△としました。
そして、はてブに決めた理由
最終的には、要件を満たし、またメディアとしての発展性があることからはてブを選びました。他社がはてブを採用して、長く使っているということもあり、現状これを選ぶのはアンパイでもあり最適解でもあったように思います。ちなみに、はてブ proの場合独自ドメインやユーザー管理、広告非表示などもできるので近い将来このブログもアップデートします。
そして何より書いていてストレスが(あまり)ないというのが、テックブログでは一番重要だと思っていて、そのあたりをカバーしてくれる媒体だと思いました。
最後に
エンジニアとしては、テックブログをプラットフォームに頼らずゼロから立ち上げて、秘伝のタレのように受け継ぎカスタマイズするというのは一つの夢でもあります。が、チームでやっていくということは、リスクを伴います。個人で好きな技術を選ぶのではなく、まずは目指す未来に向けて必要な選択肢を冷静に検討し、採っていくことが重要だと考えました。
エンジニア個人の発信からこのように大きな判断をできるのもアトラエの魅力のひとつです。カジュアル面談も毎日のように行っていますので、是非興味ある方は一緒にお話しましょう!