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チーム全員でプロダクトを改善する「Hack Day」のススメ

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チーム全員でプロダクトを改善する「Hack Day」のススメ

ビジネスマッチングアプリYenta」事業でコミュニティマネージャーをしている我妻です。 今回は、技術的な内容というよりプロダクトをより良くするためにチームで行っている「Hack Day」という取り組みに関してお話したいと思います。

Hack Day とは

現在取り組んでいる業務とは別に「普段なかなか手がつけれない改善」や「日々の業務で発生した課題」を1日で解決していくハッカソン的な取り組みです。これをひと月に1回のペースでやっていきます。 「企画チーム」「デザインチーム」「開発チーム」に分かれ、それぞれ1日という短期間で成果物をアウトプットすることを目標に取り組んでいます。 今回はこの取り組みが生まれた背景や、どのように行っているのか、やってみてよかった点などを中心にお話していきます!

メイン業務に注力する中で見えてきた課題

Yenta事業部では、フルスクラッチでのリニューアルや新規機能の開発をメインに取り組んできており、新規機能にリソースを割くタイミングです。そんな中で、日々のちょっとした改善やリファクタリングなどはなかなか優先度が上がらない状態でした。「これはやったほうが良い」と思う機能や、「これについて1回考えきった方が良い」と言うようなものはありましたが、どのタイミングで行うか判断が難しいという課題がありました。

Hack Dayが生まれたきっかけ

どんな戦略でどのようなことに注力して取り組むかという議論をしている中で、集中して取り組むべきことが明確になってきました。その一方で、細かいクオリティアップや改善が後手になってしまうという危機感をチームとして感じていました。 全員がプロダクトを良くしたい考えている中で、少しでもユーザーの期待を超えるようなことをができないかと考えたどり着いた先がこのHack Dayという取り組みでした。 このようなハッカソン的な動きをするのはエンジニア視点の場合が多いと思いますが、ユーザーに価値を届けることを考えるとエンジニアだけでは実現できないことも多いです。企画やデザインを担当する人たちも一緒に実施する方が、ユーザーの期待を超えられることになるだろうと考えた結果、チーム全員でプロダクト改善を行う日を設けることになりました。

どのようにやっているのか

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Hack Dayの周知

事前準備でしていること

Hack Day当日に何をやるか考えるべく、チーム全員で日常の業務から発生した課題やユーザーからの要望、改善したい点などを出し合います。 その後、出たものに対して優先度と影響度を判断していき1日という短期間で実施可能なものに絞っていきます。

(Yentaでの例)

  • (企画)〇〇がハマるまでの導線の設計の企画
  • (企画)理想の〇〇のアルゴリズムの企画
  • (デザイン)〇〇のどこをタップすれば良いのかわかりにくい問題の改善
  • (デザイン) ダークモード対応準備
  • (開発)〇〇の一時保存機能の実装
  • (開発)テストコードを追加実装

みんながやることに対して価値があると言える状態を作る

全員の時間をブロックして丸一日をかけて取り組むものなので、その分取り組むことの価値を信じて前に進める状態にすることが重要だと考えました。 そのため、Hack Day でやろうとしていることがタスクとして適切かどうかをチームで議論して決めています。また、企画、デザイン、開発と各チーム間での連携が必要になることもしばしばあるため事前に連携を取り、Hack Day当日は各々のタスクに集中できる状態を作っています。

自分たちが価値があると言い切れるものを1日で成果物にまで仕上げるために、チーム内で相互に協力体制を取ることができています。

1日でできるかできないかギリギリのラインを攻める

1日という限られた時間を有効に使うために、何をやるかも重要ですがどのスピード感でできるかということも重要になってきます。 そのため、やりきれるイメージを持ちつつ、現状より少し背伸びをすればギリギリ終わりそうなラインを設定し、集中して取り組まないと終わらないという目標を設定します。 チームの成長という観点においてもギリギリを攻めて、アウトプットに貪欲になるということは一番効果的ではないでしょうか。 Hack Dayは、個々人で割り振られたタスクに取り組むのではなく、「全員で」丸1日を使ってプロダクト改善を進めようという取り組みなので、ぎりぎりの戦いをすることによってチームとしての力を発揮できることを期待しています。

当日のスケジュール感

(当日の大まかなスケジュール)

  • 9:30~10:00   : Hack Dayでやる内容を各チームから発表
  • 10:00~19:00  : 作業時間
  • 19:00~19:30  : まとめ作業
  • 19:30~     : 各チーム成果物を発表

Hack Day 当日は、企画・デザイン・開発の3チームから取り組む内容と意気込みを共有して始まります。

その後は各チームに分かれ、それぞれの作業を開始します。 作業時間中は積極的にSlack等で進捗を共有し合い、また積極的にリアクションし合うことで、HackDayに取り組むチームの士気を高めています。

最後には、各チームごとに最終成果物の発表があります。チーム内の1人1人が何かしらのアウトプットを持って発表します。たった1日でここまでできるのかと、驚かされることが多いです。 Hack Dayで出した最終成果物に関しては、チーム間で連携を取りながら実際にプロダクト改善をするところまで動きます。 この1日でやったことが目に見える成果に結びついたときはみんな喜びます。

この取り組みの良かった点

チームでプロダクトをより良くする一体感が生まれる

Hack Dayというのは、日頃なかなかできていない小さなプロダクト改善を全員で取り組もうという位置づけで行っており、この1日は基本的に他の予定を入れず、全力でそれだけに取り組みます。チーム一丸でそれに向かうという体験が、ある意味成果に向かうための心理的安全性を醸成し、強い一体感が生まれます。その後の日常業務にもポジティブな変化が起こっていると感じています。

小さい改善を行いやすくなる

Hack Dayという取り組みのおかげで、日常業務に追われている中で後回しにしてしまっていた細かい改善を推進する機会となります。 チームで追っているメインの目標を考えると優先度を上げることは難しいけれど、確実にユーザーには価値があるはずだという改善はいくつもあります。Hack Dayを通じて強制的にそれを推進する機会を作ることで、サービスを利用してくださっているユーザーにより良い体験を届けようとしています。

プロダクトを良くする視座が高まる

Hack Dayで通常業務とは違うことをするので、プロダクトを良くするために普段考えない視点や触れないことに触れることになります。そうする事によって、新たな知見が貯まっり、プロダクト改善の引き出しを増やすこともできます。

私達はこのHack Dayという取り組みを月に1回必ず実施しています。そのため、普段の業務の中で気がついた改善点については、「この改善はHack Dayで取り組もう」などというコミュニケーションが生まれるようになりました。プロダクトをより良くするための全員の視座が高まっていると感じます。

最後に

これまでHack Dayの運用方法やこの取り組みの良い点に関して話してきました。このような取り組みは普段メインタスクに追われていて、やりたいことはあるけど優先度が上がりきらないが、全員が必要性を感じていることがある...というような状況にある場合に有効だなと感じています。

プロダクトづくりにおいて、大きな成果を出すために現状を俯瞰して、今やるべきことに注力することはとても重要だと思います。一方で、規模は小さいが地味に影響がありそうなことや地道な改善などをやっていくことも、プロダクトを成長させるためには必要な視点となってくると考えます。いわば、鳥の目と虫の目のような両方の視点を持ってプロダクトづくりに取り組むことが重要なのではないでしょうか?

Hack Day という取り組みは「虫の目」のような視点で、日々やりたいけどできていないものに取り組む良い機会となります!そしてその成果を最大化するために、1日と期間を決めて成果にコミットすることが重要になってきます。

月に1回の「Hack Day」を通じてプロダクト改善に取り組んでいる1つの事例として、皆さんの参考になれば幸いです。